『子(ね)の歳』は混迷の中を暮れ逝きて
≪アメリカにもビッグスリーのトップと云う、社保庁と同じ穴の狢(むじな)がいた≫
今年は≪子≫の歳で、十二支で言うと、十干の≪甲≫と同じく、それぞれ最初に来る干支の一つで、『甲子』の歳は十干と十二支が重なり、『甲子大黒』といい『≪ネズミ≫を大黒の使者と見なして、甲子の日に大黒天を祀ること』と広辞苑にあります。
その≪ネズミの歳≫も間もなく終わろうとしていますが、この≪ネズミ≫に関するもう一つのビッグニュースがあります。それは、何と言っても子供達の永遠の人気者でもある『ウォルト・ディズニー作』の愛らしいネズミのキャラクター≪ミッキー・マウス≫でしょう。それについて朝日新聞は11月16日の天声人語で次のように書いています。『すべては一匹のネズミから始まった。それを忘れてはいけない。スタジオの成功を振り返る時、ウォルト・ディズニーは語っていたそうだ。ミッキー・マウスが明後日(11/18)80歳になる。▲1928年11月18日の日曜日、音声つきのアニメの先駆け≪蒸気船ウィリー≫がニューヨークで公開された。主人公のミッキーが大衆の前に最初に登場した作品だ。映画は大当たりし、希代のキャラクタービジネスが動き出す。▲ミッキーは程なく、この動物の≪世界標準≫に上り詰めた。本物のネズミを初めて見た子は、意外に小さな耳、短い手足に戸惑うことだろう。もっぱら闇の中で終わるネズミの一生は3年ほど。片やディズニーの人気者は脚光の中に80年。親近感には大きな差がついた。』と書いていますが、その80年の土台の上に手塚アトムがあり、今や宮崎アニメのポニョがあると考えるべきかもしれません。そして、そのミッキーは昨日も、今日も、そして明日も世界中のディズニー・ランドで今日も大勢の子供達に笑顔を振りまいているのです。
それにしても、このミッキーに比べ、我が国の内閣の寿命の何と短いことか、驚くばかりです。なにしろ一年持たない内閣の数は枚挙に暇(いとま)がないのですから、世界の各国は、日本相手に交渉していても、面と向かって表には出しませんでしたが、この内閣は一体いつまでもつのかと疑いの眼で見ながら交渉に臨んでいたと云うのが本音でしょう。
一方、特筆すべきなのは、日米双方の大統領や首相の就任直後の演説の違いではないでしょうか。特にその中でも有名なのが『ジョンFケネディ』の大統領就任演説の際の、国民に向かって言った≪大切なのは国が何をしてくれるのかではなく、君達が国のために何が出来るかだ・・・≫と言う演説ですが、一方、任期終盤の予定外の不人気を回復することも出来ず、ジリ貧状態のまま任期を終え、ホワイトハウスをオバマ新大統領に明け渡さなければならない、あのブッシュ現大統領でさえ、就任早々の同時多発テロの際には、グランドゼロの現場に立ち、瞬時に国民の心を掴んだ有名な言葉があります。それは、あまりにも絶好のタイミングだったとしても、9.11テロの後、瓦礫(がれき)の上に救助にあたる消防士と共に立ち、ハンドマイクを握りしめて、全国民と犠牲者に語りかけた『君たちの声が私に聞こえる。世界が君たちの声を聞く。ビルを倒した連中も間もなく我々の声を聞く』。のちの政策の是非はさておいて、多少≪漁夫の利的な効果はあったとしても≫同時多発テロの衝撃に動揺する国民の心を一瞬にして掴む的確な的を射た強い言葉を送ったのは、さすがと言っていいでしょう。
それに比べ、我が国の首相の就任演説は、ここに書くまでもなく、就任前の選挙戦の時に比べ、これといって印象に残るような言葉が無いばかりか、国民を鼓舞(こぶ)させるような演説も残念ながら聞いた記憶はありません。ただ聞こえて来るのは、ある野党幹部の言う≪クリスマス解散で一月総選挙発言≫など、現実から遊離した尤もらしく、しかも実行性の乏しい負け犬の遠吠えにも似た『引かれ者の小唄』のような非難だけなのは悲しい事です。この・・引かれ者の小唄・・とは≪広辞苑≫によると『引かれ者が捨てばちになって、わざと平気をよそおい小唄を歌うこと。転じて、負け惜しみて強がりを言うこと。』とあります。(注)引かれ者とは・・引き回しの刑に処せられた者、と広辞苑にあります。
ところが、再度アメリカの話に戻さねばならない事が、彼の国の議会で起きています。それは、すでに皆さんもご承知のことと思いますが、長きにわたってアメリカ経済を支えてきた『ビッグ3』のトップが、そろって恥も外聞も捨てて?自家用ジェットで駆けつけ議会に助けを求め、国民の顰蹙(ひんしゅく)を買った事です。その事で≪天声人語≫は言う。(引)「『▲広い北米大陸で、自動車は独自に進化した。50年代末には、巨体の尻に垂直尾翼のようなテールフインが生えもした。アメ車という言葉には、あか抜けず、ガソリンがぶ飲みといった侮りと、ゆったり乗れて華があるという憧れが同居する。良くも悪くも米国の生活スタイルを映す姿である▲その車文化を担った、GM、フォード、クライスラーが、未曾有の危機にある。強大な米国経済と自由競争のシンボルだったビッグスリーがうちそろい、税金による計3兆円強の支援を請うている▲3社の再建計画には、何十億円も稼いできたトップの反省?が盛り込まれた。専用ジェット機を売り払い、年俸を1ドルにする。年末の資金繰りさえ危ない窮状を週末の公聴会で訴えるが、世論は冷ややかという▲第2次世界大戦中、米国の自動車産業は軍用車のほか、爆弾や戦闘機用エンジンの多くを生産した。自動車は経済の一部門というより、戦時も平時も、米国そのものだった。関連業界を合わせて数百万人が働く▲つぶすには大きすぎ、惜しすぎ、悲しすぎるのだ、でも・・・。ビッグスリーの境遇は、省エネと環境の壁に立ちすくむアメ車の姿と重なる』」と、書いていますが、結局は米下院議長の言うように、ビッグスリーをつぶす選択肢はアメリカにはない。と云うことで巨額の税金が投入される事になりそうです。
それにしても、自分達の失敗を棚に上げ、国におねだり的な資金救済を自家用機で駆けつけた恥知らずの、彼らのビッグスリーのトップ達は、先に書いた『ケネディ元大統領の就任演説の≪大切なのは国が何をしてくれるのかではなく、君達が国のために何が出来るかだ・・・≫』を聞いていなかったのでしょうか、少なくとも自分達は好き勝手なことをして、後始末は国に押し付ける・・・これを我が国では昔から厚顔無知の恥知らずと言うのです。これでは日本の社会保険庁の役人と同じ穴の狢(むじな)と言うべきでしょう。
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