【平成二十年七月】の定例法話会・テキスト
『星の王子さま』に≪キツネ≫は言った。
≪秘密を教えよう『肝心なことは、目ではなく、心でなければ見えないのさ』と…。≫
昨年の一年を表す文字が、京都清水寺の管長によって墨痕鮮やかに書かれた ≪偽≫となったのも無理からぬことと思い、今年一月の法話会のテキストに書きました。しかし、この ≪偽≫と云う文字は、昨年だけでは治まらず、今年になってからも、引き続き ≪偽≫の一文字は益々その勢いを増す傾向にあり、さらに、その悪質さの度合いは巧妙になり、これでは、本来一つだけですんだ『偽』と言う文字も、このままでは足りず、 ≪偽・偽・・・・≫と、今年は拡大路線を突き進み、無限連鎖的に作為的な方向へと傾斜し、産地や期限の表示に対し、詐欺や虚偽や欺瞞による暗黒世界へと転落し、結果として、暗く不透明な坂道を転げ落ち、心卑しき人間が苦し紛れに使う ≪嘘(うそ)も方便(ほうべん)≫と言う言葉には、天も嘆きあきれ悲しんで、そのまま天誅と云う重い罪を加えつつその頭上に返すでしょう。
ところで、本来は≪嘘(うそ)も方便(ほうべん)≫と云う間違った使われ方をしている『方便(ほうべん)』と云う言葉は、以前に法話会でお話した通り、仏教用語の中の一つで、元は(梵語のウパーヤupaya)から転じた言葉で、その目的は『迷える衆生を仏の御心に少しでも近付け正しい道に教え導くための仮の教え』と云う意味で、決して人をだましたり陥れたりするための言葉ではないのです。しかし、これを悪用して人を陥れたり金儲けに走る輩(やから)のあまりにも多過ぎた昨年の世相に加え、今年はその内容が、善良な市民消費者や年金暮らしのお年寄りを数々の手法で ≪たぶらかす≫方向へとエスカレートする傾向が強く、これはまさに悪魔の手先が ≪善良な消費者から騙して盗む≫のと同じで、これは、桃山時代に京都の三条川原で釜煎りの刑にされた伝説の大泥棒 ≪石川五右衛門≫が、最後に言い残した『浜のまさごは尽きるとも、世に盗人の種は尽きまじ』の言葉が、今の世相を映しだしているようです。
昨今の、閉塞的で不安に満ちた世界の動向と対比させながら、たった一人で砂漠に不時着した飛行機の中で、なかば絶望的な精神状態の中で見た、幻想とも云える体験を元に書かれた、 ≪サン=テグジュペリ≫の『星の王子さま』を久しぶりに読んでみますと、その中に、私達の心に、大切なことを気づかせてくれることが、数多く書いてあったのです。
その中の一つに ≪キツネ≫の口から謎めいた言葉として語られている部分があります。それは王子さまにキツネが別れぎわに言う(引)「 ≪秘密を教えよう。とてもかんたんなことだ。心でなければ、すべてのものは見えないってことさ・・・。かんじんなことは、目では見えないのさ・・・≫」と云う一言です。 ≪そして、今、目先の事に振り回されている私達・・・?≫
それでは、この本の最初のさわりの部分を少しだけ読んでみましょう。・・・サワラ砂漠に飛行機が故障して不時着した時のことです。『ぼくには、心をこめて語り合える友だちなんて、ひとりもいなかった。六年前、サワラ砂漠で飛行機が故障するまではね・・・。
ぼくはひとりきりだった。エンジンが故障したのに、整備士はいないし、もちろん乗客もいない。自分で修理しないと、死が待っている。飲み水が一週間分しかなかったからね。最初の夜、人里から遠く離れた場所で、ぼくはひとりで眠った。だから、明けがた、へんてこな声が聞こえたときは、びっくりして飛び起きてしまった。声は言った。 (引)「≪お願い・・・。ヒツジの絵を描いて。≫」声の主は、他の星から来た王子さまだったのです。』
やっと、サン=テグジュペリにも、心から語り合える友達ができました。そして、私達に数々の警鐘を鳴らし、注意を喚起する名作『星の王子さま』が誕生したのです。
久しぶりに読み返してみた『星の王子さま』の余韻を感じているとき、立命館大教授の ≪加地伸行氏≫の一文が、6月22日の産經新聞の『古典(こてん)個展(こてん)』と云う寄稿文のなかでサブタイトル ≪橋下プラン反対は大嘘≫という主張をされていましたので、名作『星の王子さま』と対比しながら読み返し、非常に興味深かったのと、この提言に対し皆さんはどう受けとめ、どう考えるだろうかと思いましたので、あえて全文を転載します。
☆『その昔、戦後の一時期、公務員の給与の支給は半月ごとだったことがあった。インフレ対策かなにかのためだったのだろう。それを月一回に、すなわち月給制にもどすことになった。正常化である。ところが、労働組合が反対した。その理由がふるっている。それはこうだ。給料日の前日は、お金が少なくなって生活が苦しい。だから月給制に変わると、給料日の前、合わせて連続二日間、生活が苦しくなるので反対、と。しっかりしてくれよ、労組さん。それって単に生活に計画性がないということで、労働条件の問題ではないわな。先日、「橋下徹」大阪府知事と府庁職員との対話集会があったとき、ある職員が「橋下さんは人として尊敬できない」ので働けないと罵(ののし)ったと伝えられている。
驚いた。公務員の組織は、ムラ共同体的な組織ではない。上司が尊敬できる人だから公務を行い、尊敬できないから公務を行えないなどと公言するような公務員は、公式に懲罰を加(くわ)うべし。労組員が大好きな日本国憲法の第15条には ≪すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない≫とるぞ。上司は関係ない。
彼ら職員は、一部の大学教授と一緒になって、人件費削減になると、いい人材が集まらないと騒いで橋下プランに反対している。
これ大嘘(うそ)。府庁は給料が安いので余所(よそ)へいく、という程度の者など、どこに求職しても採用されることのない〈低〉度の連中よ。
≪論語≫憲問(けんもん)篇にこうあるではないか。「士(し)たるに居(きょ)を懐(おも)えば(安楽な生活を思うような者は)以(も)って士(し)と為(な)すに足(た)らず」と。大阪府民の橋下知事支持率は8割を超えている。福田康夫首相はさぞかし羨ましかろう。しかし、それはタレント人気ではない。ここが肝腎(かんじん)。橋下氏がこれまでの府政(ふせい)の大嘘(うそ)の皮を次々と引っ剥(ぱ)がしているからなのだ。
例えば、〈文化〉なるもの。上方演芸のために年間2億8000万円もの賃料を『吉本興業』に支払っていたとのこと。
そんな大金があるのなら、いま散逸(さんいつ)しつつある上方人(かみがたじん)の漢詩集(江戸から明治・大正)の収集に、年間その100分の1でも充(あ)ててこそ真の〈文化〉行政だ。
けれども、そうした文化行政はなかったので、心ある人が自腹を切って収集しているのが実情。でもそれでいいのだ。そういう民間の努力があって文化は生き残っていくのである。上方演芸グループはなぜ行政にぶらさがるのか。大衆演芸ならそれらしく他人に頼らず自力で生きてゆけ。ストリートプレーヤーの逞(たくま)しさがない大衆演芸〈文化〉などつぶれてもかない。月給2日前から生活が苦しいだの、上司が尊敬できないので仕事をしないだの、安月給だと人は集まらないだの、行政にぶらさがっての漫才だのと、よう言うわ。よう言わんわ。欠けているんですなあ。根本を見る目が。 ≪論語≫学而篇(がくじへん)に曰く「君子(くんし)は本(もと)を務(つと)む。本立(もとた)ちて道生(みちしょう)ず」と。』・・・
知りませんでした。全く知りませんでした。大阪府があの ≪吉本興業≫に2億8千万円もの公金が流れていたとは、そして、これほどの大金を誰がいつ決定し、いつ実行されたのか?当然この疑問に心当たりのある方もいるでしょうし、あまりにも寝耳に水の出来事に、まさか、そんな馬鹿な、と、びっくりして、思い当たるところまでたどり着けない人も居るかも知れません。しかし、このように書いている ≪加地教授≫の主張に対し、人によっては各人各様の賛同も反論のご意見もあるとは思いますが、サン=テグジュペリの『星の王子さま』と深く対比して読んでみますと・・・ ≪砂漠がきれいなのは井戸をかくしているからだ・・・≫の中に書いている『王子さまの声が、どこか遠くのほうから聞こえた。 ≪きみも、のどがかわいたのかい・・・?≫ と、夢の中で、ぼくはそんなふうにたずねたのかもしれない。王子さまは答えなかった。ただ、こんな言葉がぼくの耳にひびいた。 ≪水は、心のかわきにも、いいものだね・・・。≫と言う部分ですが、この心の渇きのことを、仏教では『欲望は心の渇いた状態 』と云い、心の汚れた欲望の渇きは、たとえそこに水があれば、それが泥水であろうと、水でさえあれば飲んでしまうと教えます。
これを、汚れた水を ≪汚れた金≫に置き換えてみると、今の世相が見えてくるでしょう。従って自分だけが良ければと云うアメリカ発で、世界中に迷惑をかけている「マネーゲーム」の代表格とも云える「サブプライム・ローン」や「心卑しきファンド」などにうつつをぬかしている輩は、良く良く考えてみれば、彼らは人々の役に立つものは、何一つとして生産しているわけではありません。彼らはただ欲望と言う名の心の渇きを満たすため、寸暇を惜しみ血眼になって「マネーと云う水の動き」を追っているだけなのです。
それは、宇宙に浮かぶ、かけがえのない『水の星・地球』の上で、ただ「マネー」と云う人間が作り出した得体の知れない怪物を、地球の上だけで右から左へと卑しさと浅ましさだけで移動させているその姿を、日本が打ち上げた月衛星 ≪かぐや≫は見ていました。
その ≪かぐや≫から見れば、天空に浮かぶ『水の星地球』は、その大切な水を一滴もこぼさず、何一つ他の星からもらわず、般若心経にも書いてある通り ≪不増不減(ふぞうふげん)≫で、増えもせず、減りもせず、まさに仏教の『空(くう)』の境地そのものの姿で宇宙に存在する美しい姿は、卑しいマネーゲームに狂走する彼らのギラギラした眼と汚れた欲望で心の奥底まで汚れ腐り切り、果てしなく渇いた砂漠で井戸を探す姿そのものなのです。
ところで、天井知らずに石油が高騰を続ける中、洞爺湖サミットを前に ≪天声人語≫は云います。『 ≪第三次石油危機≫の言葉が飛び交う。原油と食料の暴騰が世界を脅かす。うごめく投機マネー、中国やインドの経済大国化など、世界の姿は前よりずっと複雑だ。現総理の父、「元福田首相」は第一次石油ショックの時、首相になる前の「蔵相時代」に、物価のあまりもの跳ね上がり方に、これを ≪狂乱物価≫と呼んだ。そしてこれを ≪全治3年≫と云ったが、方や息子の ≪福田赳夫現首相≫は、この物価高を『しょうがない』といなしたという・・・。 』さて、一方湾岸戦争にイラク戦争を引き起こした ≪ブッシュ大統領親子≫は、それぞれ何といったでしょう。最後にもう一度、サン= テグジュペリの『星の王子さま』を振り返ってみますと、『秘密をひとつ教えよう・・・。』と、王子さまとの別れ際に ≪キツネ≫が言った言葉は、現代にそのまま通じる含蓄のある一言だと思いますので、もう一度書きます。『王子さまは ≪さよなら と言った・・・。』そこで ≪キツネ』は言った ≪秘密を教えよう・・・、とてもかんたんなことだ。心でなければ、ものは見えないってことさ。かんじんなことは、目ではみえないんだ。≫・・・。 ≪かんじんなことは、目では見えない・・・。≫王子さまは、しっかりとおぼえるために、言葉をくりかえした。さらに 、王子さまは、けっして忘れないように、何回も言葉をくりかえした。』それをうけてキツネは ≪人間たちは、この真実を、忘れているんだ・・・。≫と、声を高めたのです。
今、世界の現状に照らしてこの言葉を聞くと、やはり≪キツネ≫が王子さまに別れぎわに言った事は、まさしく正しかったのだ・・・。とつくづく考えさせられるのです。そしてもしかすると ≪キツネ≫は最後に次のように言いたかったのかも知れません。『王子さまきを気をつけな!サミットはキツネだけでなく、タヌキも大勢集まるからね・・・。』と。さて、洞爺湖サミットに集まった世界の ≪キツネとタヌキ≫の駆け引きや如何に・・・?
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