【平成二十年三月】の定例法話会・テキスト
自衛隊は『一茶の心』に学ぶべきでは?
≪イージス艦は『慈悲の心ではなく、奢りの心』を乗せて突っ走っていた≫
小林一茶が詠んだ句に(引)「≪雀の子、そこのけそこのけ、お馬が通る≫」と云うのがあります。また(引)「≪やれ打つな、蝿が手をする足をする≫」と云うのもあります。この二つの句を思い出したのは、海上自衛隊の最新鋭のイージス艦が、海の銀座のような混雑した海域を自動操舵と云う機械任せの航法で我が物顔で突っ走り、結果として千葉の漁船に衝突した。
読売新聞のコラム≪編集手帳≫によると
(引)「『◆信じがたい事故である。夜明け前とはいえ視界が良く、波静かな海で、海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船が衝突した。漁船の船体は真っ二つに割れ、船員の親子二人が行方不明になっている。
◆イージス艦には高性能のレーダーがあり、見張りの隊員もいた筈なのに、漁船一つも避けられない。「万が一、自爆テロの船だったらどうするのだ」(渡辺喜美金融相)という不安の声が閣内から聞こえるのも道理である。
◆信じがたいことはまだある。石破茂防衛相に一報が届いたのは事故発生から1時間半後であったという。装備ばかりがご大層で、艦上にも省内にも大事な「魂柱」が欠落しているように思えてならない。
◆早春の冷たい海に投げ出された親子の安否が気遣われる。』」と、書いていますが、さらに驚くのは、次の退役した元イージス艦の艦長の言葉です。それは≪イージス艦の乗員はエリート中のエリートが集まった奢りの集団だから・・・≫と云う言葉ですが、これは言い換えればエリート官僚の身勝手さと共通の感覚ではないでしょうか。と云うのも、乗員の中に『漁船の方が避けてくれると思った・・・』と云う証言があるからです。これでは、まさにこのテキストの冒頭に書いた『一茶』の句≪雀の子、そこのけそこのけ、お馬が通る≫と云う身勝手で思い上がった歪んだエリート意識による弱者退避の原則に他なりません。
それが、仮に一部の隊員だったとしても、このような意識を持っている自衛隊員に、いざと云うとき、はたして我々国民を本当に敵から守ろうという意識があるのだろうか?と云う、一抹の不安が心をよぎった人も多かったのではないかと心配になります。
そして、この事件に関して別の日の≪編集手帳≫には(引)「『◆海上自衛隊のイージス艦は千葉県沖で衝突の12分前に漁船の灯火に気づきながら、衝突1分前まで自動操舵装置で航行を続けたという。国民の命を守るべき自衛隊が、国民の「命の灯」を蹴散らしてどうする
◆父親の吉清い(きちせい)治夫さん(56)と一緒に冷たい海に投げ出された長男の哲大さん(23)は、ホームレスの人たちに魚を贈るなど誰からも慕われる心優しい青年だった。』」
ところが、二人の漁師の「命の灯」を蹴散らした海上自衛隊に、ぜひとも学んで欲しい話が、昨年の12月11日の産經新聞のコラム≪産經抄≫に載っていましたので転載します。
(引)「『▲先週、氷点下を記録した茨城県ひたちなか市内の空き地で一夜を過ごした73歳の認知賞の女性が、雄の中型犬を抱いた状態で保護され、家族のもとに戻った女性は、薄手のセーターとジャンパー姿にもかかわらず、風邪もひいていなかった
▲猫や馬の家畜化が、約5千年前に始まったのに対して、人間と犬の付き合いの始まりは、十万年前までさかのぼることができるそうだ。▲≪種の起源≫には、「犬の人間への親愛の情が、本能的となっていることは、疑いようがない」とある
▲わざわざ、著者のダーウィンの言葉を持ち出すまでもなく、愛犬家なら、愛情深く育てられた犬が人間の役に立ちたいと、いつも願っていることを知っている。≪新聞報道を見た≪と名乗りを上げた飼い主も78歳の女性だったと、産經新聞東京版は伝えていた。おばあちゃんの難儀を見過ごせなかったのだろう
▲飼い主がわからなければ、野良犬として薬殺される可能性もあった。「情けは人の為ならず」の格言は犬の世界でも通用するらしい。連日伝えられる悲惨な事件で凍りついた心を、つかの間解かしてくれるような話だった。』」と結んでいますが、海上自衛隊はこの犬の爪の垢でも煎じて、心して飲むべきかも知れません。と云いうのも、この事件だけでなく、他にも最新鋭のイージス艦の機密漏洩事件に船舶火災と続いたからです。
ところで古い話ですが、皆さんは≪ジョン万次郎≫の話を御存知でしょうか・・・。最も今から160年も前の幕末の話ですから、名前くらいは記憶の片隅にある人も居られると思いますので、話を進めてみましょう。実は今、我が国の調査捕鯨船に無法な暴力で襲いかかり、連日新聞を賑わしていますが、これも海の問題であり、イージス艦も海の話なので取り上げようと思っていたところ、この問題に関連した話が、今月七日の産經新聞のコラム≪産經抄≫に掲載されていましたので、その一部を借用しながら話を進めてみたいと思います。では、コラムの冒頭から(引)「『米国にある「ジョン万次郎」ゆかりの家を日本の団体が買い取る計画が持ちあがっている。万次郎らを漂流先の孤島から救ったホイットフィールド船長の旧宅である。荒れ果てて売りに出されているのを取得し、日米の「友好記念館」とする予定だという。
▲この船長というのが、太っ腹で心の広い人物だったらしい。漂流民の中でも聡明な少年だった万次郎をかわいがり、自宅のあるマサチューセッツ州フェアヘーブンという町へ連れて帰った。ここで万次郎に英語や数学、航海術などを徹底して学ばせたのだ
▲幕末のころである。この奇跡的ともいえるできごとが開国後の日米関係発展に役立ったことは言うまでもない。その意味で船長宅を記念館にする計画には心温まる気がする。だが忘れてはならないのは、船長が指揮したジョン・ハウランド号が捕鯨船だったという事実だ
▲万次郎たちを助けたのも捕鯨中で、一回の航海で数百頭を捕獲していたという。しかも、只油を採るためだけの捕鯨だったのです。」この事実を≪シーシェパード≫は知るべきでしょう。
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