【平成十九年二月】の定例法話会・テキスト
『創業者』の声が届かなかった《不二家
《今回の全面操業停止は、まさに『親の心・子知らず』と言うべき出来事でしょう》
長年にわたって、子供達のアイドル的人気者だった、不二家の《ペコチャン》が、今回の誰もがよもや予想だにできなかった不祥事に、可愛い子供達の前に出るに出られず、ひそかに涙を流していると云う。その希代の老舗の歴史を語る『不二家五十年の歩み』には、(引)「《その日その日の味とサービスとの待ったなしの一本勝負で鍛え抜かれ、いつでも大衆の声をじかに聞きながら大衆のまんなかでここまで育ってきた》とあり、さらに同五十年の歩みには《夕方まで売れ残った洋菓子の処分が悩みの種だった。明治四十三年、二十五歳で横浜・元町に、店を開いたばかり。腐っているわけではないから、十分おいしく食べられる。しばらくは近所に無料で配っていたが、売れゆきの悪いのを宣伝するようなものだ。夜になって川に捨てにいくこともあったが、生クリームを使った製品などは、絶対に翌日まで持ち越すことはなかった。》」と、創業者『藤井林右衛門』のエピソードを交えながら《産経抄》は、創業者の無念さを代弁しつつ書いています。
そう言えば、仏教にはこの不二家の『不二』と云う言葉があちこちに出てきますが、この言葉は仏教的には色々難しい解釈が必要ですが、この《不二家》の場合には、創業者の名前が『藤井さん』だったせいかも知れませんが、《他に二つと無い》と云う願いを込めて『唯一無二(不二)』を心に定め名付けたのかも知れませんが、今となっては創業者である、藤井林右衛門氏のその『心』の奥底の真意を推し量るすべはありません。
それにしても、この創業者の清貧な心を踏みにじり、あまつさえ企業の存亡にもかかわりかねない不祥事がなぜ起こったのか・・・?。その事について、唯一つ言えることは、同社が創業者一族でトップを世襲して来た結果、ともすれば同族会社にありがちな、周囲をイエス・マンで固め、現場の意見が上層部に届きにくい体質があったのかも知れません。
それは、今回の『企業存亡の重大な不祥事』に対し、何一つ有効な手も打てず辞任した前社長が、創業者の孫だったことも、その辺の事情を物語っているかも知れません。
この事は、世の同族会社や世襲ワンマン会社には『他山の石』となるでしょう。
それにしても、この『不二家』以上に大変なのが国会でしょう。柳沢厚生労働大臣の《女性は子供を生む機械》発言以後、国会は野党の審議拒否によって審議が停滞し、自民公明の与党は業を煮やして強引に単独審議に入り、法案を与党の単独審議で可決してしまったのです。これを見た野党各会派は、このまま国会審議を拒否しても、自・公両党は野党連合の抵抗を無視して単独審議で法案を可決しかねないうえ、柳沢厚生労働大臣の辞任はなしと見て、急遽きょ方針を転換し、審議に応じることを決めたとみられています。
いづれにしても、世間を騒がせた柳沢大臣の『女性は子供を生む機械』発言で、奥様からきつく叱られたそうですから、奥様は《機械》ではなかったと言うことでしょう。
とにかく我々国民から見れば、女性の尊厳を傷つけた柳沢大臣の暴言とも言える発言の後始末は、任命権者の安部総理と、奥様の判断にまかせ、多くの国が外交手段で表裏の多元外交で事を進め解決へ導くように、この柳沢発言も国会の正常化と同時進行で国政第一で考えてもらいたいもので、いたずらに政争の具にすべきものではないでしょう。
そこで議員の先生方に是非読んでもらいたい本があります。それは、最近テレビドラマ化されて話題になり、300万部ものベストセラーを続けている、もとB&Bの島田洋七著の『佐賀のがばいばあちゃん』と云う本です。この《がばい》とは《すごい》と云う意味だそうですが、その内容は貧しい庶民の生活の匂いがする知恵の宝庫だからです。
例えば『特別付録』として巻末に書かれている《島田洋七を育てた!おさのばあちゃんの楽しく生きる方法語録》の中に(引)「『世の中には、病気で死にたくない人がいっぱいおるのに、自殺なんて贅沢だ。』」と云うのがあります。近年、私達の日本では自殺者が急増し年間三万人を越し、それも年々増加の傾向にあると言われています。しかし、政府や行政は、この《がばい・ばあちゃん》のような、生きる知恵や工夫だけで乗り切れるとでも考えているのでしょうか。とくに、有史以来私達日本人は、市中では《向う三軒両隣り》の助け合いの精神で、農漁村では共に協力し合い、分かち合うと云う『美しい日本の心』で生きてきたのですが、ある日突然、我が国に政・官共同で持ち込んだ《競争原理》という黒船が上陸し、一般庶民はそれについていけず、誰も分からずに、無責任な評論家や、にわかコンサルタントの口車に乗せられた結果、多くの中小企業経営者が餌食になり、そのうえ資金繰りに行き詰って困り果てた社長達を、大口を開けて待っていたのは、消費者金融のグレイゾーンの落とし穴であり、悪質な闇金融の過酷な取り立てだったのです。
そこで《佐賀のがばいばあちゃん》に聞いてみたい。『ばあちゃん!それでもばあちゃんの言うように《川に棒渡して流れてきた野菜をひろったら、二股の大根も、切って煮込めば一緒。まがったキュウリも、きざんで塩でもんだら同じこと、なのですか?・・と。》
おそらく、ばあちゃんは再び言うでしょう。《悲しい話は夜するな。つらい話も昼にすれば何ということもない。》そして《人間は死ぬまで夢をもて!その夢が叶わなくても、しょせん夢だから。》と、たしかに、生活苦や精神的な悩みから生きる希望を見失う場合もあるでしょう。でも、それらは、すべて自分が蒔いた種から始まった筈なのです。
最後に《ばあちゃん》はもう一度言うでしょう。『今のうちに貧乏しておけ!金持ちになったら、旅行へ行ったり、寿司食ったり、忙しか!』と。ガンバレ!《不二家》!!。
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