【平成十七年十二月】の定例法話会・テキスト
一年を締め括った、嘘と欺瞞の建築界
《『姉歯元一級建築士に始まり、政、財、官に国会も巻き込んだ、耐震設計の危ない嘘』》
今年もいろいろな事件がありましたが、何と言っても年の瀬も押し詰まった、十一月から十二月にかけて発覚した『姉歯元一級建築士』がらみの建築業界の不祥事は、政、財、官を巻き込んだ前代未聞の『不作為(当然すべき事をしなかったために、人を死なせること=三省堂国語辞典)』と危険を知りながら、『欺瞞ぎまん(人目をあざむき、だますこと=広辞苑)』と『作意的(たくらみの心をもって=同国語辞典)』な、詐欺的商法で欠陥住宅を販売した、最も卑劣で狡猾こうかつな、人間の皮を被った悪魔の重大犯罪と言うべきでしょう。
それにしても地震国の我が国で、やっと購入した我が家が、予告なしに何時起きても不思議ではない《震度5》程度の地震で崩壊すると云う恐怖や、その時、家族の生命や財産をどうやって守ろうかと、心配のあまり日中はもちろん夜も眠れぬ日々を過ごしていると思います。しかも昼は昼で一家の主人は仕事や勤務先で、家に残した家族の事を心配し、一方、家に残った妻や家族は、かすかな物音にも地震の前触れではないかと神経をとがらせ、夜は夜で、もし眠っているときに《震度5》の地震が来てこの家が崩壊したらどうしようと脅え、その時自分は家族をどう守ればよいのか・・・誰に助けを求めればよいのかと、不安と心配で生きた心地もしないでしょう。
この様にずさんな行為を許した《設計・管理・調査・販売》の現在のチェック制度の体制は《政も財も官も》口をそろえて「性善説」の上で運用されているかのごとき、逃げ口上を用いて責任逃れをしていますが、それが何の用もなさなかった今の《建築確認制度》は形ばかりで、もたれ合いや、なれ合いの上に成り立つ、大甘検査が今回のような不祥事を引き起こした以上、世界に冠たる地震国日本の「耐震建築技術」も地に落ちたと言われても仕方なく、今まで営々として築き上げてきた我が国の耐震建築技術に対する世界の信用や評価は、砂上の楼閣だったと見られても仕方がない重大な事件なのです。
それにしても、十一月二十六日の産経抄は(引)「《構造計算書の依頼主が言ったと云うセリフがすごい。「鉄筋量を減らせ」「もっと減らせ」「ダメならほかの設計事務所に代える」。これが事実なら、弱みに付け込むヤクザの脅しに等しい。》」と、辛辣しんらつに書いています。
今後もこのような『性善説(人間は善を行なうべき道徳的本性を先天的に具有しており、悪の行為はその本性を汚損・隠蔽いんぺいすることから起こるとする説で・・・孟子による正当的儒学の人間観)』を隠れ蓑にする悪徳建築業者や検査会社や建築士の存在が続く限り、今後は『性悪説(人間の本性を利己的欲望と見て、善の行為は後天的習得によってのみ可能とする説)』に基づいた根本的な制度の切り替えが必要で、提出された「構造計算書」や「設計図」を徹底的に疑い、施行状態も疑い、官民合わせて厳しく監理して、国民総チェックの体制で彼らの行動に目を光らせるべきでしょう。と云うのもこれだけ多くの人々の心に不安を与え、国民の生命財産を危険な状態に陥れた性根の腐った悪徳業者達ですから、万一地震が実際に起こり、これらの建物が崩壊すれば、多くの生命や財産に甚大な被害を与える訳で、このような危険な行為を平然と行なう輩やからどもには、二度と社会に出てきて欲しくないと考えるのが、偽らざる国民的感情ではないでしょうか。
しかし、残念ながら二度と我々善良な市民が住む娑婆世界(一般社会)に出てきて欲しくないと思っても、我が国には『終身刑』と云う刑事罰が存在しません。従って、たとえば、現実に殺人を犯しても、その被害者が一人の場合は、司法の慣例として、一部の例外を除いては死刑ではなく、おおむね『無期懲役』止まりですから、十五年もすれば、また、我々の娑婆世界に出てきてしまいます。と云うことは死刑以外の刑が確定した犯人は、いずれ社会に戻ってくると云うことです。従って『無期懲役』と云うのは、『無期限懲役』すなわち『終身刑』ではありませんから、期間を定めないと云うだけのことで、仮に極端に飛躍した言い方をさせてもらうとすれば、その『無期懲役』の受刑者が翌日釈放で出所しても、これも『無期懲役』の範疇はんちゅうに入ると云う事になるのです。
因ちなみに、この《無期刑》を三省堂の「大辞林」で調べてみますと、(引)「『終身拘禁を内容とする自由刑。10年経過後、仮出獄もありうる。』」と書かれています。
そこで、この事件をもう一度厳しく検証してみますと、今、現実に《震度5》の地震が起きて、これらの建物が崩壊し、人的被害(死亡)が出たとすれば、考え様によっては『姉歯元一級建築士』をはじめ「財・官・民」合わせた設計管理者や、それを建築し販売した悪徳集団による、『未必の故意(相手が死ぬかも知れないことを知りながら行なう行為=三省堂国語辞典)』による殺人事件と言われても仕方ないでしょう。これは、言い換えれば、先程も述べたように『性善説』が、戦後教育の弊害によって根底から破壊され、欧米狩猟民族の遺伝子を引き継いだ、欧米文化の《奪い取る喜び》と云う『負の部分』の影響を強く受けた結果、東洋の農耕民族の美徳でもあった、地域社会の人々が互いに協力して、田畑を耕し種を蒔き、互いに助け合い手塩をかけて《育て収穫する喜び》と云う自然と供に生きると云う運命共同体的な美しい心を、孟子の『性善説』に対立する荀子じゅんしの説く『性悪説』にも該当するであろう欧米狩猟民族的な考え方への転換によって、日本人の心も、教育も、社会の風潮も、我々日本人が昔から大切に育んできた、他人への心配りでもある『思いやりの心』も、家族の友人や社会や多くの人々から受けた感謝の気持ちを表す『おかげさまで、と云う美しい言葉も心も』失い変えられてしまったのです。
その結果、東洋の農耕民族の勤勉実直であった美しい心《育て収穫する喜び》を捨てさせ、欧米狩猟民族の、狡猾な罠や策略や武力を用いてでも、強引に人のものを手段を選ばず《奪い取る喜び》の獲得へと変貌させ、昔からの日本人の心の奥底で大切に育まれて来た『分かち合う喜び、与え合う喜び』を失わせてしまったのです。
そこで今回の『姉歯事件』を考えてみる時、ふと目に留まったのが、十一月二十二日の読売新聞の夕刊に書かれていた《よみうり寸評》だったので、その全文を紹介しますと、『〈砂の楼閣〉・・・一見立派だが、基礎がもろいため長く維持できないこと、あるいは実際には実現不可能なこと。〈空中楼閣〉・・・根拠のない架空の物事◆問題の姉歯建築設計事務所が耐震強度を偽装したマンション、ホテルの数々に、危うい楼閣の二つの例えを連想した。砂上、空中とは言わないまでも、危ういこと、ほとんどそれに近い感がある◆倒壊のおそれのあるマンション、ホテルの耐震強度のリストに唖然とする。強度が必要とされる基準の26%しかないもの、30、40%台がずらり◆この数字は大出鱈目をやった一級建築士と彼の設計事務所自体の劣化度を示しているようにも見える。ことが露見しても、映像で見る彼に悪びれた様子のないのも不思議だ◆〈法令順守〉・・・ことあるごとにこの言葉が使われる。が、近ごろは〈コンプライアンス〉などという。気取って言うのか、順守の気もない目くらましか。カタカナ語の裏で法令違反が横行している◆ある職人さんが言ったそうだ。職業に貴賎はないが、生き方に貴賎はあるよね。』です。
そこで、仏教の教えの「エッセンス」とも言われている《法旬経》を、スリランカ仏教会長老「A・スマナサーラ師」の著書《原訳ダンマパダ・一日一話》の中から、(引)「116番の《真の勇者とは》を取り上げてみますと『よいことをするには、ためらってはならない。善をなすのに躊躇ちゅうちょしていたら、心は悪を楽しむことになる。』」と書かれていますが、その意味は『心は弱いものです。「わたしはけっして悪いことはしない」などと過信しないほうがよいのです。ちょっとした隙があれば、心は悪い方向へ行ってしまうものです。心はいつも簡単なこと、楽なことを先にしようとします。心は放っておくと危険です。たとえば子どもがなにか悪いことをやらかすと、思わずカッとなって怒ることがあります。怒るのは簡単でやりやすいからなのです。諄々とさとすことは面倒なのです。怒りの感情で子どもを叱っても、子どもには効き目はありません。それを叱った本人も気づくので、あとから後悔することになります。また、人は、「だれも見ていないから」「バレないから」「一回だけだから」という気持ちで、悪いことをしてしまうものです。平気で悪いことをする人々は、勇気があるように見えるかもしれません。しかし、それはただたんに気が弱く、心が楽な方向に流されただけのこと。その衝動に打ち勝てなかったわけです。心は悪い方向に行くほうが楽なのですから、よいことを実行するためには、かなり強い決意が必要です。意思が弱い人は、よいことが実行できません。よいことをする人こそが、真の「勇者」なのです。気が弱くて怖がりな人は武器を持とうとします。自信のない人は強がります。本当に強い人、自信のある人、能力のある人は、そんな愚かなことはしません。もちろん他人のせいにしたり、他人の非をとがめて攻撃するようなこともしません。自分自身に満ち足りているから、落ち着いていられるのです。』と、書かれていて、それぞれ心に感じる方が多いかと思いますが、これらの言葉をしっかり胸に刻み、来年こそ「自然災害」も「人的犯罪」もない平和な一年を迎えたいものです。
今回は、少し難しい話になってしまいましたが、この不良住宅や欠陥ホテルだけでなく、これまで長年にわたって国際的な信用を積み重ねてきた、世界有数の地震国である我が国の耐震設計技術に対する信用の根幹に関わる重大な問題ですので、あえて取り上げましたので、ご勘弁願いたいと思います。では、どうぞ良いお年を、お迎えください・・・。
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