【平成十七年六月】の定例法話会・テキスト
それは『ヒューマン・エラー』から始まった
《JR西日本の『日勤教育』に名を借りた《草むしり制裁》の体質》
かなり前のことですが『せまい日本そんなに急いでどこ行くの・・・?』と云う交通標語があったのを御存じだった方も多いと思います。そこで、今回のJR西日本の福知山線尼崎の列車脱線転覆事故の知らせを聞いた時は、そこには、この交通標語と《何か共通するメッセージがある・・・》と、感じられた方も居られたことでしょう。
そこで思い起こすのは、以前《東京大学名誉教授の畑村洋太郎氏》が出版され話題になった『失敗学の法則』と云うベストセラーの書物の内容です。
そして、奇しくもその『失敗学の法則』の中に、今回のJR西日本の大事故を予見する内容が書かれていたのです。そして、もう一つの「畑村名誉教授」の言葉に(引)「『一つの大きなミスの裏には二百の小さなミスが隠れている』」と云う一言があります。
そこで、その「畑山名誉教授」の『失敗学の法則』の中からJRに関する部分の一部を、今後の無事故を念じながら引用させていただきますと、(引)「如何に今回の大事故の裏には、小さな失敗や、うっかりミスが多かったかが、おわかりになると思います。
さて、その『失敗学の法則(No.12)』には『すべてのエラーはヒューマン・エラーである。』と云う「タイトル」に続いて《人間のやることに『完璧』はない。人間の動くところには必ず失敗が起こる。これは失敗学の根本的な考え方です。だからこそ、飛行機や列車の運行システムや銀行の決済システムなど、絶対にエラーが許されないようなシステムに関しては、コンピューターでシステムを制御しようとします。ところが、それでもエラーは起こります。その答えは簡単で、どんなに完璧に見えるシステムでも、それを作るのは、エラーをする生き物、つまり人間だからです。》」と、今回の尼崎の列車脱線転覆事故を予見していたかのごとく書かれています。
それにしても、このごく当たり前な基本的な忠告を無視し、しかもミスをした社員に対し《日勤教育》と称し、すでに新聞で報道されたように、業務の再教育とは無関係な懲罰的な《草むしり作業》を命じる《いじめ・しごき》が日常的に行なわれていたとすれば、それは『垣内剛JR西日本社長』が云う(引)「《会社の風土》と云う体質が、社員の中でも特に運転手を精神的に追い詰めていったことは事実でしょう。
と云うのも、この事故を起こした電車を運転していた高見運転士は、この事故直前のオーバーランによって起きたダイヤの遅れを取り戻さなければ、自分は運転士から外されると、必死で回復運転を試みたと云う事実が明らかになったからです。
さらに、この高見運転士の同僚の運転士が《毎日新聞》に証言したところによると『運転士への指導は、以前は管理職が運転席に同乗していたが、数年前から私服の社員がこっそり客席側からチェックするようになった。精神的にきつい・・・』と、また別の大阪市内の駅員の証言は『最近、サービスの実態調査は専門の業者に委託され、調査員は客のふりをして来る。サービス向上は悪いことではないが、それをコソコソ隠れて調べるところがこの会社の体質やね・・・』」と語っているのです。
それにしても、なぜそこまで乗客の安全を犠牲にしてまで、秒単位のダイヤを守ることに執着するのでしょうか・・・?。確かに、先月出版された新潮文庫《定刻発車》(三戸祐子著)には(引)「『日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?』という副題まで付き、『日本の鉄道の年間の定時運転率には、新幹線で(96%)、在来線で(90%)の数字を上げていますが、ヨーロッパでも一応(90%)前後の定時運転率は確保はしているものの、その中身は大違いだという。例えば、日本では「一分以上」遅れた列車はすべて《遅れ》に数えられるのに、海外では「十分」やそこらの遅れは《遅れ》のうちに入らないと云う。ちなみにフランスのTGV(新幹線)の《遅れは》「十四分」以上を云い、イタリアの普通列車は「十五分」で、イギリスのインターシティが「十分」以上、寝台車になると「三十分」からが《遅れ》だと云うのですから、外人が日本の列車に乗ったら、時刻表さえあれば時計はいらないと云うのも分かります。
ところが、107人もの死者を出した、四月二十五日のJR西日本の脱線転覆事故は、十四年前の信楽高原鉄道の列車正面衝突事故の教訓がまったく生かされず、ATCも依然として旧型で、しかもその後もぞろぞろ出てくるオーバーラン・・・。ちなみにJR各社の事故当時までの今年のオーバーラン件数は、JR西日本が「69件」で断然トップ、これにJR東海が「19件」、JR東日本が「16件」と続き、このように2位以下に大きく水を開けてオーバーラン競争を独走していた、JR西日本の垣内社長の事故後のコメントは、この事故を起こした原因は《社内の風土だ》とうそぶくに至っては何を言わんやで、その風土を蔓延を許したのは《社長!あなた達幹部の責任ではなかったのか!》」と、毎日JRに命を預けて通勤しているサラリーマンや、全国の一般利用者の怒りが、地鳴りのように押し寄せて来るようです。
そこで、もう一度『失敗学』の畑山名誉教授に再登場していただきますと、先生はその著書《失敗学の法則》の中で、次のように言っておられます。(引)「『鉄道の歴史は事故との戦いの歴史だともいわれます。いまや、その安全性は世界一といわれる日本の鉄道も、いくつもの悲惨な事故を経験してきました。鉄道のなかで最も恐ろしいのは、列車どうしの衝突事故です。衝突事故の原因の多くは、運転士による信号の見落としです。そこで事故が起こると〈マスメディア〉はこぞって《運転士の気がたるんでいるからだ》と責め立てますが、考えても見てください。電車の一番前に乗っているのは運転士で、もし衝突事故を起こしたら、まっさきに自分が死んでしまうのです。彼らはそれを誰よりもわかっていて、他人に言われるまでもなく、つねに気持ちを引き締め、慎重に運転をしているのです。それでも、体調が悪かったり、何か心配事があったりして、一瞬ほかのことに気を取られ、信号を見落としてしまうことがある。それが人間なのです。そのため、鉄道各社はATS(オートマチック・トレイン・ストップ)という「自動列車停止システム」を導入しました。これは、列車が停止信号の数百メートル手前まで接近したときに自動的にブザーが鳴り、そこで五秒間運転士が何もしないでおくと自動的に非常ブレーキがかかり、列車が停止するというシステムです。しかし、それでも衝突事故はなかなか減りませんでした。というのも、運転士には安全性とともに《定時運行を最優先する》という任務があって、つねに遅れないように、時間どおりに運行しなくてはいけない、という思いがしみついていて、どんなときも列車を前に進めるように、体が無意識のうちに動くようになっているのです。ところが、心配事か何かを抱えていると、ふと信号を見落としてしまうことがあります。でも、体は列車を前に進めようとうごくので、その結果、前の列車と衝突したり、今回のような大事故になったりするわけです。
そこで、完全な安全対策のためには「ATS」では不十分だということになり、ATC(オートマチック・トレイン・コントロール)という、運転士が仮に信号を見落としても、なお電車を進めようとしたら自動的に停止するというシステムを作りました。つまり《人間はミスをする》ということを想定したシステムを作ったわけです。
*〈現在はさらに進んだATS−Pが開発されていますが・・・。〉ところが、全国にある「ATS」をすべて「ATC」に変えるには莫大なお金がかかります。当然、鉄道各社は安全が第一とわかっていながら、新システム導入を躊躇したのです。
ところが、JR東日本の前会長「山之内秀一郎」さんは、JR東日本の会長に就任すると、安全システム整備のために、八千億円以上もの資金を投入するという英断を下しました。そして「ATC」をはじめ、より安全性の高いシステム導入をしたのです。彼(山之内会長)の著書《なぜ起こる鉄道事故》によれば、JR東日本がスタートした1987年に、年間376年あった鉄道運転事故が、1999年には年間142件にまで激減し、衝突事故に次いで恐ろしい踏切事故に関しては、なんと80%も減ったと言います。』」
まさに、これは『仏教の教えにある《執着を捨てて、正しく真実・真理を見よ》と云う教え』を実践した、勇気と決断の勝利と言ってよいでしょう。
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