【平成十七年二月】の定例法話会・テキスト
ゆとり教育は、「人災」か「官災」か?
《『教育』は人造りで、国の基本とは言うけれど・・、我が国のレベルは下降中・・。》
二月三日の夜は《福は内・・!、鬼は外・・!》と、町のあちこちから豆まきの掛け声が聞こえ、節分の夜が明けて《立春》を迎えました。これで暦の上では春を迎えたのですが、一方、中越地震の被害にあった人々にとっては、地震で弱った家を守ろうと、毎日必死の雪下ろしの作業が続き、被災地ではこのような苦しみの続くかぎり、まだまだ地震災害の後遺症や豪雪の重みからも開放されず、立春どころではないでしょう。
たしかに昨年の度重なる天災人災の連続にはさすがの雪国特有の辛抱強く、粘り強さを持つ被災地域の人々でも、恐らく心の内では《何で我々がこんな目に合わなくてはならないのか・・、しかも、自然を見守り、自然を愛し、自然を大切にして、みんなで助け合いつつ平和に暮らしてきたこの我々がなぜ?》と思ったに違いないでしょう。
しかも中には、この《二重苦、三重苦》とも言える苦しみに耐えかねた結果、ふと心の片隅で『本当にこの世に神や仏は居るのだろうか・・・?』と疑ったり『これは、恐らく《鬼か悪魔》のなせる業に違いない・・・』と思った人が居たかも知れません。
ところで「国語学者の金田一春彦氏」は、この鬼について新潮文庫「言葉の歳時記」の中で《日本の鬼》を評し『来年のことを言うと笑い出すユーモアを解し、同情すべき場面では目に涙をためる優しさをもち、十八の年ごろになれば、ちょっと色気も出ようといううれしい存在』と言っていますので、もし仮にこれらの『災害』が《鬼か悪魔》のせいだとすれば、それは日本の優しい鬼ではなく、どこかの国の鬼なのでしょう。
そこで気になるのが、拉致被害者『曽我ひとみ』さんの夫《ジェンキンスさん》の初めての単独記者会見での発言です。彼は来日の決意を《家族全員を北朝鮮から脱出させたかった》と述べた後、記者の質問に答えて《金正日は悪人だ・・》と、言っていますが、恐らく彼は『金正日は鬼だ!』と言いたかったのかも知れません。
さて、ここでもう一度、新潟の「地震被害者」の方々や、昨年の度重なる台風や水害に遭われた方達のご苦労の話に戻してみますと、確かに地震は《天災》かも知れませんが、台風や大雨や異常気象による日照りなどは、あながち《天災》ばかりとは云えず、京都議定書が義務づけている、温室効果ガスの削減率は依然として守られず、その結果起こる地球温暖化現象による《人災》の影響が、かなり大きいと云えるでしょう。
お釈迦様は『人生は苦である・・・』と説いておられますが、同時にその《苦》を造っているのは、ほかならぬ我々人間自身の心であると見抜かれ、その苦から解脱するための方法として、般若心経にも書かれているように『まず心のこだわりを捨てなさい、そして、心にこだわりが無ければ、悩みや苦しみや恐れさえも、おのずから遠ざかり消え去って行くものだ・・・』とおっしゃっています。さらに、お釈迦様は人生は『苦』であると云われた理由について、『苦』とは《自分の思うようにならない事》であり、その《思うようにならない事》とは、《自らの心の執着》が作っているのだと、と看破された上で、その『苦の真理』を《四諦八正道したいはっしょうどう(苦諦くたい・集諦じったい・滅諦めったい・道諦どうたい)》として明らかにされたのです。
そして、その四諦とは、広説仏教語大辞典(中村元はじめ著)によると『四つの尊い真理で、真実・真理ということであり、人生問題とその解決法についての四つの真理という意味で、それは
(1)苦諦・・この世は苦であるという事実。
(2)集諦・・苦の原因が煩悩・妄執であるという事実。
(3)滅諦・・苦の原因の滅という真実。
すなわち無常の世を超え、執着を断つことが苦しみを滅したさとりの境地であるということ。
(4)道諦・・さとりに導く実践という真実。
すなわち理想の境地に至るためには、八正道の正しい修行方法によるべきであるということ。』であり、その八正道とは『理想の境地に達するための八つの道であり、それは
(1)正見・・正しく四諦の道理を見る事《正しい見解》、
(2)正思惟・・正しく四諦の道理を思惟する《正しい思い》、
(3)正語・・正しい語をいう《正しい言葉》、
(4)正業・・正しい行動をする《正しい行為》、
(5)正命・・身しん・口く・意いの三業さんごうを清浄にして正しい理法にしたがって生活する《正しい生活》、
(6)正精進・・道に努め励む《正しい努力》、
(7)正念・・正道を憶念し、邪念のないこと《正しい気づかい》、
(8)正定・・迷いのない、清浄なる、さとりの境地に入る《正しい精神統一のこと》
の八つをいう』とあります。
やがて、この様に数々の真理の教えを説き終えられ、齢八十の高齢を迎えられたお釈迦さまは、大乗経典の法華経を説かれた霊鷲山を仰ぎ見る王舎城を後にし、生まれ故郷の《カピラバッツ》へと従者の阿難(アーナンダ)と共に旅立たれたのです。
この最後の旅をニルバーナ・ロード(涅槃の旅)と云いますが、この旅の途中で、バイシャリーに立ち寄られた際、小高い丘の上に登り、遥か彼方を見つめ『バイシャリーは美しい、人生は甘美だ・・・』と言われたのですが、そこには自らも《苦》を乗り越えられ、その《苦》の真理を明らかにされた、崇高なお釈迦様の姿のあったのです。
日頃、私達は何かにつけこだわりの心を持ちます。そして、そのこだわりがストレスを生み、不満や、パニックや、争いや、もめ事を引き起こしているのです。
ところで、なぜ現代の人々は、このような自我への執着から起こる各種の問題を、心の中に抱え込むのでしょう。確かに、その原因の一つに現在の《知識優先、智恵不在》で《心の教育欠落》の教育制度そのものに問題があると云われています。しかもその第一番の責任は、文部科学省の一貫性のない《猫の目政策》にあり、卑近な例を上げれば、《ゆとり教育》と称し、鳴り物入りで打ち出した指導方針も、昨年末の『国際学力調査』の世界ランク発表の結果を見ればわかる通り、十五才の子供を対象にした<2003年>の「国際学習到達度調査」で、日本は前回<2000年>8位だった「読解力」が14位に順位を下げ、加えて、前回1位だった「数学的応用力」は6位に転落したのです。
この問題について、読売新聞が去る一月十五、十六日の両日実施した『教育に関する全国世論調査(面接方式)』によると、(引)「学力低下の主な原因は、「ゲームやマンガなど誘惑の増加」が53%でトップ、続いて、「授業時間の削減」が50%、「教師の質の低下」は41%、「日常生活の乱れ」が37%で、「教科内容の削減」は36%などの順で、学力低下は《ゆとり教育》や《教師の質の低下》が原因と見る人が多い結果が出ると共に、「ゆとり教育」を《評価しない》と答えた人は、なんと72%にも及んだのです。」
この結果は、文部科学省主導による我が国の教育の凋落は、知識は教えても、知恵や心の教育が欠落していることが最大の原因である。と証明しているようなものです。
これについて、東大大学院の《刈谷教授》は、読売新聞の紙上で(引)「『ゆとり教育への評価は、今回の調査で決着がついたと言えます。私は一貫してその問題点を指摘してきましたが、今まで文部科学省が進めてきた教育改革は国民は支持していません。むしろ不満を感じています。学力低下が不安という声も非常に多く、それだけでも驚きですが、その理由は《内容削減》政策、つまり、ゆとり教育への評価と結び付いていると思います。問題は国際学力調査にみられるように、学力低下でも、読解力を中心に成績下位層の得点が下がるなど、格差が広がっている点です。世論は先生に対しては非常に厳しい見方をしていると思います。』」と言い、続いて(引)「『塾に行かせる理由でも《学校だけでは不安だから》が多いのは、公教育に対する頼りなさ、不安の表れでしょう。
ただ、これを教師バッシングに結び付けてしまうと、教師を追い込んでしまうだけで教育はよくなりません。学校が生き生きするためには、教師も働きやすい場にするなど、今の学校の問題をしっかりとらえた上で、政策変更することが大事だと思います。』」と、語っています。このように、教育に対する問題点が、いろいろな形で噴出してきましたが、問題なのは《平等を重視した画一的教育》か、《競争による能力重視の教育》かは依然として戦後教育の残した大きな「ひずみ」と「ゆがみ」であり、これを、どう是正して行くかが、日本の五十年後、百年後を決める大事な論点でしょう。何れにしても、子供も大人も含め、《心の闇を照らす人作り教育》をまじめに目指してほしいものです。
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