【平成二十三年八月】の定例法話会・テキスト
『今、なぜ?どうして、福島なのか!』
≪『仏の顔も三度まで』と云うが、福島の四重苦は、神・仏不在の地獄絵図だ≫
千年に一度の災害と云われる、地震や津波の大震災に続いて、新潟県や福島県を襲った記録的な豪雨は、東北地方の相次ぐ天災の中でも神の存在さえ疑いたくなる程の自然災害の三重苦に加え、間違いなく人災と言える福島第一原発の放射能攻撃まで受け、これはまさに前代未聞の四重苦と言わねばなりません。
しかも、未だその三苦の見通しも付かず、その結論も見えぬうちに、今回の新潟・福島の両県では気象庁始まって以来と言っても良い未曾有の豪雨に見舞われ、昔から怖いものの代名詞として使われてきた(地震・雷・火事・親父)をはるかに上回る地震・津波に原発事故に加え今回の豪雨による災害なのです。
それは過去の実績から見て、正に想定外の大地震に加え、有史以来の最大の津波や豪雨に襲われるという、相次ぐ天災に加え、未だに原発事故と迷走を続ける菅直人政権の優柔不断な人災が追い撃ちをかけているのです。
この現実を見ていると、かつて小松左京氏の『日本沈没』を思い出します。
これに想いを同じくしたのか≪7/30日の産經抄≫を見ると氏の代表作『日本沈没』が書かれるまでの秘話が明らかにされています。それは次の通りで*≪日本にもアパッチ族がいた。
戦後、空襲で焼け野原になった大阪城近くの砲兵工廠(こうしょう)はくず鉄泥棒たちの天国だった。彼らは、警官らと、派手にやりあい、追い払われてもすぐに舞い戻ったので浪速っ子は「アパッチ族」と呼んだそうな▲そんな彼らが、小松左京さん初の書き下ろし長編「日本アパッチ族」の発想の源になった。残念ながら、今は文庫版も手に入りづらくなっているが、「鉄を食べる」人間という着想やスピーディな話の展開で、最高傑作というファンも多い▲小説誕生の産婆役となったのは、昭和三十年代、新婚間もなかった小松家のラジオだ。当時、小松さんはラジオ大阪で、放送作家のはしりのような仕事をやっていたが、突然、家のラジオが故障してしまった▲貧乏暮らしですぐ買い督えるわけにいかず、ラジオを聴けなくなった妻はひどくがっかりした。
みかねた夫が「じゃあ僕が面白いものを書いてやる」とOBCの原稿用紙で書き出したのが「日本アパッチ族」だったという▲歴史にイフ(もしも)はないが、もしあのとき小松家のラジオが故障しなかったら『日本沈没』は生まれたかどうか、空前のヒットになった『日本沈没』は、繁栄に酔いしれていた日本人を痛撃したが、原点はアパッチ族と妻への愛情だった▲小松さんは、死の間際に「危機は必ず乗り越えられる。日本と日本人を信じている」というメッセージを遺(のこ)した。深くうなずくところだが、政治の現場が足を引っ張っている。「菅さん以外なら首相は誰でもいい」という現状を打破するには、もう衆院解散・総選挙しかない。みすみすこの国を沈没させるわけにはいかないのだ≫
と書いてありますが、小松さんが死の間際に残した最後の言葉『危機は必ず乗り越えられる。日本と日本人を信じている』と云う言葉を何回も続み返しているうちに、その部分が『危機は必ず乗り越えられる。(但し、ただ一人の日本人を除いては)日本と日本人を信じている…』と聞こえて仕方がないのです。
その小説のような『日本沈没』にしつつあるのが現内閣かも知れません。
そこで、この『日本沈没』を書いたいきさつに至るエピソ一ドを八月六日の朝日新聞の≪天声人語≫に載っていましたので、ご一緒に読んでみましょう。
*≪80才で亡くなった小松左京さんは戦時中、子供向け雑誌で原子爆弾という新語を知った。夢物語のはずが、数年して日本に落とされる。
「科学技術の発達はいったい人類をどないすんねんと思った。それもSFに本格的に取り組む一つの動機でした」と、小紙に語っている▲近刊『3・11の未来』(作品社より8/23日発売予定)に寄せた絶筆で、その人は書いた。「私は、まだ人間の知性と日本人の情念を信じたい。この国難をどのように解決していくのか、もう少し生きていて見届けたい」▲小松さんは核兵器を憎みながら、科学技術の善用を信じ、原子力の活用を「人類の大きな挑戦」とみていた。それは、ごく一般的な立ち位置でもあった。
3.11までは▲原爆と原発。似た音を持つ20世紀の発明は、ともに核分裂の熱を使う。一つは人殺しに、一つは発電に。しかし放射能は善悪を弁(わきま)えない。この猛獣を地震国で飼いならすは難しいというのが、福島の教訓だ▲広島と長崎での追跡調査は、被爆(ひばく)には「これ以下なら安全」という量はないと教えている。国会で説明した児玉龍彦・東大教授によれば、福島からは広島原爆20個分(ウラン換算)の放射性物質が飛散した。残存量もはるかに多く、影響の広さ、長さは知れない▲但し<原発は悪いものだと言っていません、怖いものだと言っているのです>。≫‥・後略‥・。
ところで、今回の平成の大津波での犠牲者にはこの夏が新盆となります。御先祖の御霊を迎える迎え火や門火に、波間を揺らめきながら語り、そして遠ざかる漬霊流しの火、しかし、それが間違っても原子の火にならぬよう願います。
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