【平成十六年九月】の定例法話会・テキスト
イチローは『空くう』を実践していた
《苦しみや悩みの原因 『こだわり』を捨て、心を開放し本当の自分を見つけよう・・・》
世界が注目した、古代五輪発祥の地《アテネ》への108年ぶりに里帰りした《オリンピック》は厳重な『テロ』に対する厳戒態勢の中で終了しましたが、いざふたを開けて見ますと、女性選手が大活躍する中で無事に開幕出来た事は、これこそ平和の勝利と誰もがホッと安堵の胸を撫で下ろした事でしょう。しかも、この『108年』と云う「里帰り」に要した長い時間は、初期の五輪の姿や形を大きく変えていたのです。と、云うのも、今回のアテネ五輪は、五輪組織委員会の「アンゲロプロス会長」も、アテネ市長の「バコヤンニさん」も女性だったと云う事から、多くのマスコミが《女の五輪》と報道していた事と、女性選手の活躍が突出していた事でしょう。しかも、この『108』と云う数は、仏教で言う『108煩悩』にも通じ、その意味で、日本の選手の煩悩も浄化され、史上最高の成績に繋がったのかも知れません。
ところが、今回の女性の活躍は別として、紀元前八世紀に始まった《古代オリンピック》の競技に参加する選手は、すべて全裸の男性のみで、女性は参加するどころか見物さえ許されず、万一覗き見でもしようものなら、厳しく罰せられたと云われています。ただし、その理由は定かでありませんが、『男女同権だ!、ジェンダフリーだ!』と呼ばれる現代の人々には、理解しにくい部分も多いとは思いますが、恐らく、その答えは各人各様なのでしょう。
ところで、そのオリンピックに、女性が参加出来るようになったのは、1900年にパリで開催された第二回大会からで、1896年の記念すべき近代五輪の「第一回アテネ大会」に参加出来たのは男性だけだったのです。これは近代五輪の創始者クーベルタン男爵が『女性が見せ物になっては困る』と、女性の参加に否定的だった事が原因だったと云われています。
それにしても、今回のオリンピックでの、日本選手の活躍は立派なもので、何と(金)が16、(銀)が9、(銅)が12、と史上最高の《37個》のメダルを獲得した訳ですが、その原因を率直に推測してみますと、今回は多くの選手が従来の選手達と異なり、メダルや日の丸や競技団体からの重圧と云う呪縛に囚われない、マイペースで心が自由な選手が多かったように思いました。この様な心の持ち方は、超一流のスポーツ選手に共通する《心にこだわりを持たず》《囚われの心を捨て》《自然体で無心を心掛け》結果として《己自身に勝つ》なのです。この件に関し興味ある著作と記事がありましたので、次にその一部を紹介してみましょう。
仏教に関する著作が多い哲学者《梅原猛氏》の『梅原猛の授業《仏教》』と云う本の中には《イチローは(空くう)を実践している》と注目すべき言葉が書かれていました。それは、般若心経に代表される般若経全体を貫く難解な『空くう』の思想を、一般在家の人にも分りやすい事例を引いて書かれていますので、その一部を抜粋して、次に紹介してみましょう。
『一切のこだわりを捨てる。むずかしいですね。人間はこだわるからこそ、いろいろな悩みが起こってくる。皆さんが試験の点数にこだわる。いい点を取りたいと思うのはいいことだけど、点数だけが人生ではない。点数にこだわるのは、いたずらに人生を苦しくさせて人間の活動する力をそぎます。イチローは球場に行くときに、必ず一人で行くそうです。友達なんかと一緒にいかない。車を運転して、必ず、一人になる。これから野球をするために緊張を高めて、球場で全力ぶつける。それには雑談をして心が迷ったらだめだからです。車に乗っているときから集中して、心を《空くう》の状態にする。《空くう》の状態にして自由に活動できるようにする。どんな球が来てもすぐパッと打てるように、心のこだわりを捨てる。イチローは、帰るときも又一人だそうです。決して友達や仲間と一緒に帰らない。明日の試合のことを考えて、また、心を《空くう》にして全力を発揮できるように、帰るときから心を整える。私はこれが《空くう》の知恵だと思っています。イチローは自ら意識しているか意識していないかは知りませんが、私には《空くう》の知恵を実践している様に思われます』
次は、去る九月一日の読売朝刊に掲載された『松井が駆ける』と云うインタビュー記事で、普段は温厚なヤンキースの松井選手の、知られざる心の裏面が垣間見える記事です。
(引)「 『自打球は、つらい?・・《すべてバッターの責任。めちゃくちゃ痛いのに、怒るわけにはいかないんだ》。苦笑するスラッガーの様子を眺めながら、記者はハッと気付いた。
背番号《55》が我を忘れて怒る姿なんて、見たことがない・・・。そう、《怒りの制御》が抜群にうまいのだ・・・。《本当は短気だよ。心の中では小さな出来事で、よく爆発している》と明かすものの、30年間を振り返り、第三者の面前で激怒した経験があるのだろうか・・・。《うーん》と考え込み、一分が過ぎた。《何か、あったかなあ》。三分経過。《記憶にないなあ》。肩をすくめて回想を打ち切った。生来の優しさが《怒りを表に出すと、周りも不愉快になる。人の、そんな顔を見るのは嫌なんだよ》と云い、さらに《腹立たしいことが起きたとき『起こったら負け』って自分に言い聞かせる》そして、それは自分に負けることだと云い《怒りって、突然込み上げてくるでしょ。頭が真っ白になるし、『本能』に近い感情だと思う。それを、もう一人のおれ、つまり『理性』が抑えようとする。理性が本能に負けるの情けないじゃん・・・》この考え方が、野球に結びつく・・・?《うん『練習しなきゃダメ』っていう理性が『眠いから寝ちゃえ』という本能と闘う。負けたら成長できない。打席に立っても、怒ると平常心が乱されるしね》そして、試合中の乱闘について《本音を言えば好きでない。参加は義務づけられているから出ていくけど、おれは、ケンカを見せるためにやっているんじゃないって思う・・・》』」松井も《空くう》を感じていたのでしょう。
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